バス事業の受益者負担について
町田市ではバス事業として「玉ちゃんバス」「かわせみ号」「まちっこ」を展開しています。年に一度、課別事業別行政評価シートで受益者負担の割合を算出しており、受益者負担比率を見ることで、事業の運営状況の良し悪しを確認することができます。
玉川学園コミュニティバス「玉ちゃんバス」の受益者負担比率は、直近で74.7%→99.5%→101.0%と推移しました。コロナ禍による一時的な落ち込みを乗り越え、現在は自立した運営が可能な水準を維持しています。この100%超えという数字は、単なる偶然ではなく、地域住民との密接な連携や路線の最適化など、積み上げてきた実績が、社会情勢の回復とともに再び形になったものです。
金森地区コミュニティバス「かわせみ号」の受益者負担比率も37.9%→50.9%→65.5%と改善が進んでいます。高齢者向けのサルビアカードを出張発行するなど、行政側が利用者を待つのではなく、地域に飛び出す工夫を凝らしたことが直接的な利用者増につながりました。サルビアカードの発行により、対象の高齢者だけでなく同乗者の利用も増えたことで、想定以上の波及効果を生み、目に見える数字として収支を押し上げています。
その一方で、依然として厳しい状況にあるのが市民バス「まちっこ」です。公共施設巡回ルートの比率は16.4%→8.1%→16.0%。相原ルートにいたっては5.4%→6.4%→7.8%と推移していますが、依然として一桁台という極めて低い水準にとどまっています。
交通不便地域の解消という大義はありますが、これほど低い水準が続くようであれば、路線の打ち切りすら検討せざるを得ないレベルにあると言えます。税の分配という公平な視点に立てば、効率性の低い事業に公費を投入し続けることは、市民に対する説明責任を果たせているとは言い難く、抜本的な再検討が不可欠です。
ここで重要なのは、「玉ちゃんバス」や「かわせみ号」で得られた成功のノウハウを、いかに「まちっこ」へ横展開していくかという点です。良好な実績を上げている路線には必ず理由があります。それを単なる個別の事例で終わらせるのではなく、ニーズに合わせた柔軟なルート変更や地域特性に応じたプロモーションなど、市全体の共通の経営戦略として昇華させなければなりません。
利用者の視点に立った主体的な経営努力を尽くすことで、路線の格差を埋めていく。そのプロセスを経て初めて、市全体の公共交通の質を底上げし、持続可能な行政サービスへと繋げることができるのです。













